それゆけ!ピコ!

第一話「ぼくのなまえはピコ」

 「ぼくピコ。よ〜ろし〜くね〜」

 彼の名はピコ。非常に愛くるしい姿だ。
ピコは森を歩いていた。冒険心が強く、今日も散歩=探検をしていた。
歩くこと数十分。ピコはある物を見つけた。

 あれぇ? こんなところに「あな」があるぞ〜。

 それは人が余裕で入れる穴だった。深さはわからない。そこでピコは思いついた。

 「よ〜し、はいってみよ〜」

 意を決してピコは穴に入ってみることにした。ピコは穴に飛び込んだ。
スンッと重力に引っ張られる。真っ逆さまになりながらピコは叫んだ。

 「ワナだった〜!」

 ピコの頭に声が響く

 「ピィ〜コォ〜!!」

大勢の子供たちがピコの名を叫んだ……ような気がした。

 ピコはそのまま地中深く沈んでいった。

第二話「おねがいピコ」

 ピーピーと機械の音がする。医療スタッフが走り回る。
ピコは病院に運ばれていた。ピコは穴から救出され、そのまま病院へ運ばれた。

 「先生! お願いします! どうかこの子を助けてやってください!」

ピコの第一発見者だ。ピコはボロボロの状態で発見され、彼女が連れてきた。

 シューシュー……

 酸素マスクをつけたピコは目覚める気配がない。
担当医は準備を進め、彼女に言った。

 「できるだけの事はします。さぁ、下がってください」

彼女は何とか落ち着けながら、医者に頭をさげた。

 「どうか……よろしくお願いします」

 ドアが締り、手術中の文字が光った。

 ガー……ッ

 「むっ……すまない。全員、席を外してもらえないだろうか。緊急だ」

 スタッフが問い返す。

 「どうしたんですか。先生」

 医者は声を荒げる。「早くっ!」と。
スタッフは急いでその場を出て行った。
医者はマスクと取り、手術着を脱いだ。そして、口元に笑みを浮かべ、懐から拳銃を取り出した。

「誰が医者って言ったかなぁ」

 男は拳銃をピコの額に向け、引き金を引いた。

 パァン……ッ!

 真っ赤に染まる血しぶき。弾丸は確実にピコの頭を直撃した。

 「ピィ〜コォ〜!!」

 大勢の子供達がピコの名を叫んだ……ような気がした。

 ピコはもう目覚めない。二度と。

それゆけ!ピコ! 
199X年1月
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